私は、1993年に長崎大学医学部を卒業しました。両親が会津出身で、幼少の頃から野口英世博士の話を聞いて育ったため、在学中も感染症の勉強がしたいと思っていました。 そこで、熱帯医学研究所に出入りしたり、南インドの病院に研修に行ったりして結核やらい病、マラリアなどの症例を経験しました。 卒業後は、地元近くの自治医科大学附属病院に研修医として勤務し、長崎大学時代の先輩方の後ろ姿を見ながら、なんとか感染症の勉強ができないかと思案いたしました。当時は、感染症を専門にする診療科は全くなく、感染症科研修をするのは至難の業でした。 そんな中、三浦恭定教授の血液内科が自治医大にありました。当時、白血病やリンパ腫、多発性骨髄腫の患者様は抗癌剤のため白血球やリンパ球が減少して免疫力が低下し、様々な感染症を併発することが知られていました。そこで、感染症の診察や治療ができる血液内科に入局することに決めたのです。 自治医科大学附属病院の血液科で研鑽を積み様々な感染症の知識を獲得する中で、多くの血友病の患者様と出会いました。血友病とは、凝固因子を含む血液製剤によりHIV感染症を合併し、当時治療が難渋していました。HIVとは、ヒト免疫不全ウィルス(Human Immunodeficiency Virus)の略で、血液や精液を介して感染し、5年ほどかけて徐々に免疫の力を低下させることにより色々な感染症を合併します。これがエイズ(AIDS;Acquired Immuno Deficiency Syndrome) です。 当時、栃木県ではHIV感染症を専門に診る医師がいなかったので、小澤敬也教授にお願いして、国立国際医療センターに研修にいかせて頂いたこともあり、1999年より、自治医大附属病院ではHIV感染症外来が始まったのです。HIV感染症の治療の進歩はすさまじく、以前は”死に至る病”であったのですが、現在では平均寿命も健康人と変わらなくなり、一般内科としての健康管理の重要さが指摘されています。 血液内科の外来で扱う疾患で一番多いのは貧血です。貧血の原因は鉄欠乏やビタミン欠乏、溶血といって血が壊れてしまうものなど様々ですが、白血病などの初期症状であることもよくありますので、ご相談いただければ幸いです。 他にも血液が多いことも、多血症や白血病の初期症状の可能性がありますので、検査が必要です。リンパ腺や脾臓が腫れるという症状も血液内科の出番です。大学病院等で寛解(なおった、という意味です)や経過観察となった白血病やリンパ腫の患者様も診察致したいと考えています。 今後は内科診療を基礎として、血液内科、感染症科とHIV感染症外来の3つを柱に、診察していきたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。 |